をしてやるのはいい――おたがいに与えっこだから構わない――しかし何か負い目を受けることは好ましくなかった。彼は、自分の芸術にたいする破廉恥な乞食《こじき》たるワグナーとは異なっていた。自分の芸術を自分の魂以上に置いてはいなかった。自分のかせいだパンでなければ喉《のど》に通らなかった。――あくる日、彼が徹夜して仕上げた仕事をもってゆくと、ヘヒトは食卓についていた。ヘヒトは、彼が無意識に食物の上へ投げた眼つきや蒼《あお》ざめた顔色を見て、何にも食べないでいるのに違いないと思い、御馳走《ごちそう》をしてやろうとした。その志は親切だった。しかし、クリストフの困窮を見て取ったことや、その御馳走が施与《ほどこし》に等しいことを、どしりと胸にこたえさせるような態度だった。クリストフは、たとい餓死するともそんなものを受けたくなかった。が食卓へすわるのを断わるわけにはゆかなかった――(話があると言われたので)。けれど何一つ手をつけなかった。食事をしたばかりのところだと言った。胃袋は食べたくてひくひくしていた。
クリストフはヘヒトに頼らないで済ましたかった。しかし他の出版屋はさらにひどかった。――また、
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