ていた。しかるに今クリストフがやって来ると、彼はこの機会をとらえて、相手に屈辱的な態度を取らないでいいようにしてやりながら、過去の誤解の記憶を寛大に消し去ろうとするどころか、かえって、相手に長々とその要求を述べさして喜んだ。そして、クリストフがかつて拒んだ仕事を、少なくとも一度だけはぜひともやらせたがった。五十ページの楽譜を渡して、それを明日じゅうにマンドリンとギターとに組曲してくれと言った。そのあとで彼は、クリストフに我《が》を折らしたのに満足して、も少しよい仕事を見つけてくれた。しかしいつもきわめて無愛想な態度だったので、クリストフは少しもありがたくは思えなかった。困窮に駆られなければふたたび彼のもとへ走ることをしなかった。がとにかく、その仕事がいかに厭《いや》なものであろうと、ヘヒトからただ金をもらうよりは、まだそれで金を得る方が気持よかった。実際ヘヒトは、ある時彼に金をやろうとした――それも確かに好意からであった。しかしクリストフは、ヘヒトが初め自分をへこますつもりでいたことを感じていた。彼は向こうの条件は承諾しなければならなかったが、少なくとも恩恵を受けることは拒絶した。仕事
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