死にたいする郷愁とをそなえている……。彼はその姿を学校の中に見た。嗄《しゃが》れ声のきたない粗野な賤《いや》しい疥癬病《かいせんや》みの生徒らの中に交って、衒学《げんがく》的な天才はだの風貌《ふうぼう》をしているが、それらの悪童どもと口論し、時としては土方みたいになぐり合い、ある者から打ち倒されることもある……。彼はその姿を家庭の中に見た。二十一人の子どもにとり囲まれていて、そのうち十三人は彼より前に死に、一人は白痴であるが、その他は皆りっぱな音楽家で、彼に小音楽会を催してくれる……。疾病《しっぺい》、埋葬、苦々《にがにが》しい論争、困窮、世に認められない天才、――そしてことに、その音楽、その信仰、解放と光明、垣間《かいま》見られ予感され欲求され把握《はあく》された喜悦、――神、彼の骨を焼き毛を逆立たせ口から雷鳴を発せしむる神の息吹《いぶ》き……。おお力よ、力よ! 力の多幸なる雷電よ。
 クリストフは息を凝《こ》らしてその力を飲み込んだ。ドイツ人の魂から流れ出るこの音楽の偉力の恩恵を、彼は感じた。往々平凡で粗野でさえもあるが、そんなことはなんの関係があるか? 肝要なのは、それが満ちあふ
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