かなり食い辛棒《しんぼう》で、なんでもないことに顔を赤らめ、あるいは幾時間も黙り込み、あるいは快活にしゃべりたて、すぐに笑ったり泣いたりし、しかも突然のすすり泣きや子どもらしい笑い方をするのだった。彼女は笑うのが好きで、つまらないことを面白がった。決して大人《おとな》ぶるところがなかった。まだ子どものままだった。ことに彼女は善良で、人に心配をかけることを苦にし、また少しでも人から小言《こごと》を言われるのを苦にした。ごく謙遜《けんそん》で、いつでも引っ込みがちで、美しいとかりっぱだとか思えるようなものは、なんでも愛したがり感嘆したがっていて、他人のうちに実際以上の美点をみて取りがちであった。
彼女の教育はたいへん遅れていたので、人々はそれに気を配った。かくて彼女は、クリストフについてピアノの稽古《けいこ》を受けた。
彼女は叔母《おば》の家の夜会で初めてクリストフに会った。たくさんの人が集まっていた。クリストフは聴衆に応じて機宜の処置を取ることができなかったので、長々しいアダジオを一つ演奏した。皆は欠伸《あくび》をしだした。曲は終わるかと思うとまた始まっていた。いつになったら終わるか
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