彼女はもう子どもではないのに、皆から子どもとして取り扱われ、自分でもやはり子どものように思っていた。心の中の感情を押し隠していたし、その感情を恐がっていた。それはある物もしくはある人にたいする愛情の跳躍だった。彼女はひそかにコレットを慕っていた。コレットのリボンを盗みハンケチを盗んだ。その面前で一言も口がきけないこともしばしばだった。コレットを待っていたり、これからコレットに会えるのだとわかっていたりする時には、待ち遠しさとうれしさとで震えていた。芝居で、胸を露《あら》わにした美しい従姉《いとこ》が、同じ桟敷《さじき》の中にはいって来て、衆目をひくのを見る時には、彼女は愛情のあふれたやさしいつつましい微笑《ほほえ》みを浮かべた。そしてコレットから言葉をかけられると、気がぼーっとなった。白い長衣をまとい、ふうわりと解いた美しい黒髪を褐色《かっしょく》の肩にたらし、長い手袋の先を口にかみ、手もちぶさたのあまりにはその切れ目へ指先をつっ込みながら、芝居の間じゅうたえず彼女は、コレットの方へふり向いては、親しい眼つきを求めたり、自分が感じてる楽しみを分かとうとしたり、または褐色《かっしょく》の
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