おぼね》の肉が軽く薔薇《ばら》色を帯び、頬がふっくらとして、田舎《いなか》娘のような健康をもち、やや反《そ》り返った小さな鼻、いつも半ば開いてる切れのいい大きな口、まっ白な円い頤《あご》、やさしく微笑《ほほえ》んでる静安な眼、長い細やかな房々《ふさふさ》した髪に縁取られてる円《まる》い額《ひたい》、そしてその髪は、縮れもせずにただ軽いゆるやかな波動をなして、顔にたれていた。静かな美しい眼つきをした、顔の大きな、アンドレア・デル・サルトの幼い聖母に似ていた。
 彼女はイタリーの者だった。両親はほとんど一年じゅう北部イタリーの田舎《いなか》の、大きな所有地に住んでいた。野原や牧場や小さな運河などがあった。屋上の平屋根からは、金色の葡萄《ぶどう》畑の波が足下に見おろせた。黒いとがった糸杉《いとすぎ》の姿がところどころにそびえていた。その向こうには畑がうちつづいていた。閑寂だった。地を耘《うな》ってる牛の鳴声や、犁《すき》を取ってる百姓の甲《かん》高い声が聞こえていた。

「シッ!……ダア、ダア、ダアー!……」
 蝉《せみ》が木の間で鳴いていた。蛙《かえる》が水のほとりに鳴いていた。そして夜に
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