出て行った。
 大した騒ぎだった。人々は彼が聴衆を侮辱したと叫び、客席に来て謝罪すべきだと叫んだ。諸新聞は翌日、パリーのよき趣味によって罰せられた野卑なドイツ人を、いっしょになって筆誅《ひっちゅう》した。
 その次には、ふたたびひっそりと静まり返ってしまった。クリストフはまたもや、敵意を含んだ他国の大都市の中で孤立した。今までになくひどい孤立だった。しかし彼はもはや気にしなかった。これが自分の運命である、生涯《しょうがい》このとおりだろう、と彼は信じ始めていた。
 彼は知らなかった、偉大な魂は決して孤独でないことを、時の運によって友をもたないことがあるとしても、ついにはいつも友を作り出すものであることを、それは自分のうちに満ちてる愛を周囲に放射することを、また、自分は永久に孤立だと信じてる現在においても、彼は世の最も幸福な人々よりさらに多くの愛を他から受けていたことを。

 ストゥヴァン家には十三、四歳の少女がいて、クリストフはこれにも、コレットと同時に稽古《けいこ》を授けていた。彼女はコレットの従妹《いとこ》で、グラチア・ブオンテンピという名前だった。金色の顔色をした少女で、頬骨《ほ
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