身の喜びにばかりとらわれていた。彼は実演の方法などは考えもしなかった。ことに、芝居の舞台にのぼされることがあろうとは思い浮かべもしなかった。音楽会で採用してくれる時には演奏してもらうつもりだった。
ある晩彼は、その作品のことをアシル・ルーサンに話した。そして願われるまま、ピアノでひいて大略を知らせようとした。するとルーサンはその作に感激して、ぜひともパリーの舞台にのぼせるべきものだと言い出し、自分が万事尽力すると誓った。クリストフの思いもかけないことだった。数日後に、ルーサンがそれを本気にしてるところを見ると、彼はさらにびっくりした。それから、シルヴァン・コーンやグージャールやリュシアン・レヴィー・クールまでが、それに興味をもってることを知ると、彼は驚きのあまり呆気《あっけ》に取られた。この連中の私的な恨みは芸術にたいする愛にうち負けたのだと、彼は認めざるを得なかった。彼のまったく意外とするところだった。その上演を最も急がないのはクリストフ自身だった。作品は少しも芝居のために作られたものではなかった。舞台にのぼせるのは無意味なことだった。しかしルーサンは非常に固執し、シルヴァン・コー
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