に融《と》け込んでしまう。クリストフにとって重要なことは、その力を自分のうちにまた他人のうちに呼び覚《さ》ますこと、火炉の上に一かかえの薪《まき》を投ずること、永遠をして燃えたたせることであった。パリーの逸楽的な闇夜《やみよ》の中にあって、彼の心のうちには大なる炎が上がっていた。彼はいかなる信仰にも縛られていないとみずから信じていたが、実は全身が信仰の炬火《きょか》にすぎなかった。
それは最もフランス人の皮肉の的となりやすいものだった。信仰はきわめて精練された社会が最も許しがたく思う感情の一つである。なぜなら、そういう社会はみずから信仰を失っているから。青年の夢想にたいする大多数の人々の暗黙なあるいは嘲笑《ちょうしょう》的な敵意のうちには、自分らも昔はそのとおりであり、そういう野心をいだきながらそれを実現できなかったのだという、苦々《にがにが》しい考えが多くは交っている。すべて自分の魂を否定した人々、自分のうちに仕事をもちながらそれを完成しなかった人々は、こう考える。
「私にしても夢想したことをしとげることができなかった。どうして彼らにできるものか。私は彼らがしとげることを望まない。
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