《にんてい》をも、彼のうちで衝突し合ってたがいに同等の生存権をもってるあらゆる悪魔を、放散せざるを得なかった。一作品の中に一つの熱情の荷をおろすや否や――(時とするとその作品を終わりまで書きつづけるだけの忍耐がないこともあった)――すぐに彼は反対の熱情に落ち込んでいった。しかしその矛盾は表面のみだった。彼は常に変わりながらも、常に同じだった。彼のあらゆる作品は、同一の目的に達する種々の道筋だった。彼の魂は一つの山嶽《さんがく》であった。彼はそのあらゆる道を進んだ。ある道は羊腸《ようちょう》として木陰にたゆたっていた。ある道は日にさらされて険峻《けんしゅん》な坂をなしていた。そしてそのすべてが、山頂に鎮座してる神へ達するのだった。愛情、憎悪、意志、忍諦、すべて極度に達した人間的な力は、永遠に接触してすでに永遠を分有するものである。人は各自分のうちに永遠なるものをもっている、信仰者も無信仰者も、至るところに生命を見出す者も、至るところに生命を否定する者も、生命や否定や万事を疑う者も、――またそれらたがいに矛盾する事柄を同時に魂の中に抱擁していたクリストフも。そしてあらゆる矛盾は永遠の力の中
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