列挙していた。彼自身もまた、「文芸の大製作所の片隅《かたすみ》に、古い絨緞《じゅうたん》を繕ったり廃《すた》れた古代の鎗《やり》をみがいたり」してるところを示していた。――手工の完成をのみ注意してる、かかる良職工観みたいな芸術家観にも、美が存しないではなかった。しかしそれはクリストフを満足させなかった。彼はそこに職業的威厳を認めはしたが、それが懐抱する生命の貧弱さを軽蔑していた。彼には書くために書くということが考えられなかった。彼は言葉を言いはしないで、事柄を言っていた――言いたがっていた。
彼らは事柄を言えど汝《なんじ》らは言葉を言うのみ……。
クリストフの精神は、新しい世界を吸収するだけの休息の時期を経た後に、にわかに創作の欲求にとらえられた。パリーと自身との間に感ぜられる反対性は、彼の個性を際《きわ》だたせながら彼の力を倍加せしめた。ぜひとも自己表現を求める熱情の溢漲《いっちょう》であった。その熱情は各種のものだった。彼はそのすべてから、同様の激しさで刺激された。彼は作品をこしらえ出して、心に満ちている愛情やまたは憎悪《ぞうお》を放散せざるを得なかった。また、意志をも忍諦
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