ァン・コーンはその奇警な逆説を人に言い伝え誇張していたのだった。)――クリストフは人々の興味をひくだけで、少しもその邪魔にはならなかった。彼はだれの地位をも奪いはしなかった。一派の大立物となることも、彼一人の思いのままだった。何にも書かないでもよいし、もしくはできるだけわずかしか書かないでもよいし、ことに自分の作を少しも人に聞かせなくても済むし、グージャールみたいな連中に思想を供給してやるだけで十分だった。この連中は有名な言葉を格言としていた――ただ少しそれを修正して。

 私の杯《さかずき》は大きくはないが、しかし私は……他人の杯[#「他人の杯」に傍点]で飲む。

 強い性格は、行動するよりもむしろ感ずることの方が多い青年らにたいして、ことにその光輝を働かせるものである。クリストフの周囲には青年が乏しくはなかった。一般にそれらの青年は、閑《ひま》な連中で、意志もなく、目的もなく、存在の理由をも有せず、勉強の机を恐れ、自分一人になるのを恐れ、肱掛椅子《ひじかけいす》にいつまでもすわり込み、自分の家に帰って自分自身と差し向かいになることを避けるためには、あらゆる口実を設けながら、珈琲店や
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