出せる、彼の顔つきの独特さ、またその非常な醜さ、その身体つきや服装や唐突《とうとつ》拙劣な素振りなどの滑稽《こっけい》さ、時々その口から漏れる矛盾した奇抜な言葉、垢《あか》ぬけはしていないがしかし広い強健な知力、また、ドイツでの脱走や官憲との喧嘩《けんか》やフランスへの逃亡などについて、シルヴァン・コーンがふれ歩いた小説的な物語、それらのものは、世界一家的な大客間となってるこの全パリーの、閑散でまたたえず働いてる好奇心の的と彼をなしてしまった。そして彼が、自己の意見を吐かずにただ観察し傾聴し理解に努力しながら、控え目にしてる間は、その作品や思想の根底が人から知られない間は、皆からかなりよく思われていた。フランス人らは彼がドイツにとどまっていられなかったことを幸いだとしていた。ことにフランスの音楽家らは、ドイツの音楽に関するクリストフの苛酷《かこく》な批判を、自分らになされた敬意ででもあるかのように感謝していた。――(それも実際はすでに陳腐《ちんぷ》な批判であって、彼自身ももはや今日では賛成できかねるようなものが多かった。そういう四、五の論説が近ごろドイツの一雑誌に掲げられたので、シルヴ
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