を投げていた。廃兵院の広地の奥、その濠《ほり》や高い壁の後ろ、厳粛な寂寞《せきばく》さの中には、遠い昔の戦勝の交響曲のように、薄黒い金色の円《まる》屋根が浮き出していた。そして凱旋門《がいせんもん》は、勇敢なる進軍のように、帝国軍団の超人間的な大跨《おおまた》を、丘の上に踏み開いていた。
クリストフはにわかに、巨人の死骸《しがい》の大なる手足が平野を覆《おお》うているような印象を受けた。彼は恐怖に胸迫って、そこに立ち止まりながらながめやった、地上から消え失《う》せた物語めいた巨人の化石を、かつては全世界がその足音を聞いた巨人の化石を。――それは、廃兵院の円屋根を頭にいただき、大堂宇の無数の腕で空を抱いてるルーヴル美術館を帯にまとい、ナポレオン凱旋門の堂々たる両足を世界に踏み広げてる、一民族であった。しかし今では、この凱旗門の踵《かかと》の下に、侏儒《しゅじゅ》どもが蠢動《しゅんどう》していた。
クリストフは名声を求めはしなかったが、シルヴァン・コーンやグージャールから紹介されて、パリー社会にかなり知られていた。芝居の初日や音楽会などで、この二人の友人のいずれかといっしょにいつも見
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