ることを証明するために、喧嘩《けんか》腰でクリストフをながめながら、一つの遁走《とんそう》曲を復吟した。
クリストフは狼狽《ろうばい》して逃げ出した。あいつどもは国民の生きたる源泉をまで害毒してしまっている、と彼は考えた。もはやそこには民衆は存在しなかった。
「お前たちだって民衆だ!」と民衆劇場を建設しようと企ててるかかる善人どもの一人に、ある労働者が言った言葉どおりだった。「俺もお前たちと同じくブールジョアだぜ!」
ある夕方、やや褪《あ》せた温《あたた》かい色彩の東方産の絨緞《じゅうたん》のような柔らかい空が、薄暗い都会の上に広がってる時、クリストフは河岸通りに沿って、ノートル・ダームからアンヴァリードの方へやって行った。たれこめてきた闇《やみ》の中には、戦いの最中に振り上げてるモーゼの腕のように、大寺院の塔がそびえていた。サント・シャペル会堂の黄金彫りの尖頂《せんちょう》が、花咲ける聖《きよ》き棘《いばら》が、立ち込んだ屋並みから突き出ていた。流れの彼方《かなた》には、ルーヴル美術館の厳《おごそ》かな正面が広げられていて、その退屈そうな小窓には、夕陽《ゆうひ》が生々とした残照
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