》で、人の言うことにすぐ同化した。そのうえ、よく物に同感し、怜悧《れいり》であって、生来の趣味と後天的趣味と虚栄心とから、何物にも興味をもった。そしてかなり正直だった、自分の利害に衝突しないくらいの程度において、また正直でないことが危険であるような場合に応じて。
彼の細君はかなりきれいだった。背が高く、格好がよく、骨格が丈夫で、身体つきもすらりとしていて、きっちり合った華美な服装は、肉体の強健な円《まる》みをとくによく示していた。縮れた黒髪に縁取られた顔、大きな黒い厚ぼったい眼、とがり気味の頤《あご》、そして、実は太いけれど見たところかなりほっそりとした顔つきは、ただ瞬《またた》きがちな近視の眼とつぼめた口の動きで、少し損ぜられてるのみだった。ある小鳥のようなわざとらしい落ち着きのない態度と、愛嬌《あいきょう》を装《よそお》ってはいるが淑《しと》やかさと親愛さとに富んだ話し方をそなえていた。中流の富裕な商家の生まれで、自由な精神と徳操とを有し、宗教にでも執着するような調子で、世間的な無数の仕事に執着していた。芸術的な社会的な仕事をももちろん引き受けていた。一つの客間《サロン》を作るこ
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