係、なかんずく、自分の親友の細君との関係、などをきわめて巧みに語っていた。人物の描写も手ぎわよくなされていた。読者もその細君も友人も皆、描写の精確なことをほめていた。彼は女の打ち明け話か寵愛《ちょうあい》かを受ける時には、それを書物の中で言わずには済ませなかった。――普通に考えると、彼の不謹慎な叙述は彼とその「関係の女たち」との間を冷たくするのが、当然らしく思われた。しかしそんなことは少しもなかった。女たちはほとんど迷惑がりもしなかった。ただ形式のことだけをかれこれ言っていたが、内心では、自分の裸体姿を公衆にさらしてもらったのがうれしかった。その顔に仮面を残してさえおけば、彼女らの貞節は無事だった。また彼の方でも、なんら意趣返しの心も、また誹謗《ひぼう》の心をも、それらの饒舌《じょうぜつ》に含ましてはいなかった。彼は普通一般の者に比べて、さらに悪戯《いたずら》な息子《むすこ》でもなければ、さらにいけない情人でもなかった。彼が自分の父や母や情婦のことを露骨にあばいてる同じ章の中にも、彼らのことを詩的な愛情と魅力とで述べてるページがあった。実際のところ、彼は極端に親密な態度だった。しかしな
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