が出会うあらゆる魂は、彼女にとっては器《うつわ》のようなもので、彼女は好奇心からまた必要から、すぐにその形をみずから取るのであった。存在せんがためには、いつも他の人となる必要があった。彼女の性格と言えば、一つの性格者でないということであった。彼女はしばしば自分の器を取り換えていた。
 クリストフは彼女をひきつけていた。それには多くの理由があったが、その第一のものは、彼が彼女からひきつけられていないということだった。なお他の理由としては、彼女の知ってるあらゆる青年と彼が異なってるからでもあった。こんな形のこんな粗暴な容器に、彼女はまだかつて順応しようとしたことがなかった。また最後の理由としては、彼女は容器や人々の正確な価値を一見して評価するのに、民族的な巧慧《こうけい》さをそなえていたから、クリストフには優雅な点はないが、骨董《こっとう》品的なパリー人の示すことのできない堅実さをもっているということを、完全に見て取ったからであった。
 彼女は現代の暇な若い娘の大多数と同じ調子で、音楽をやっていた。盛んにやるとともにほとんどやっていなかった。言い換えれば、常に音楽をやりながらほとんど何にも
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