をし、面白くもないことに面白がってるふうをすることが、なぜ余儀ないのか?――面白くないというのはほんとうなのか?――一年前だったら、彼はかかる仲間には我慢ができなかったはずである。しかし今や、彼らは彼をいらだたせながらも実は面白がらせていた。パリー風の無関心さが多少彼のうちにしみ込んできたのか? 彼は不安の念をもって、自分が弱くなったのではないかと怪しむこともあった。しかし反対に、彼はいっそう強くなったのだった。他国の社会において、彼の精神はいっそう自由になったのだった。彼の眼はわれにもあらず、世間の大喜劇に向かって開かれていた。
 そのうえ、芸術家を知るにつれてその作品に興味をもちだしてくるこのパリーの社会から、自分の芸術が知られんことを望むならば、彼は否でも応でもかかる生活をつづけなければならなかった。またこれらの俗衆の間に、生活に必要な稽古《けいこ》の口を得んと望むならば、彼は人に知られることを求めなければならなかった。
 それにまた、人は一つの心をもっている。心は知らず知らず愛着する。いかなる環境にあっても、愛着の対象を見出してゆく。もし愛着しないとすれば、生きることができない
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