世間に発表していた。ベートーヴェンが生きていたらその足下に踏みにじられそうな下劣な連中が、かつぎ上げられてる若干のりっぱな人物とともに、その名簿に名を連ねていた。
クリストフはながめまた聴いていた。悪口を言うまいと歯をくいしばっていた。そんな晩じゅう、気を張りつめ身体をひきつらしていた。口をきくことも黙ってることもできなかった。愉快からでもなくまた必要からでもなく、口をきかなければいけないという礼儀から口をきくことは、彼には卑しい恥ずかしいことのように思われた。心底の考えを口に出すことは、彼に許されなかった。つまらないお座なりを言うことは、彼にはできない業だった。しかも黙っていて礼を失《しっ》しないだけの才能を、彼はもっていなかった。隣席の人をながめるにしても、あまりにじっと見つめるのであった。彼はわれ知らず隣席の人を研究してるのであって、向こうはそれを不快に感じた。口をきけば、自分の言うところをあまりに信じすぎていた。それは皆のものにとって、また彼自身にとっても、気まずいことだった。彼は自分の来るべき場所でないことをよく知っていた。そして相当に怜悧《れいり》で、一座の調子が合ってる
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