。『私には……どうも、これは淫猥のように思われる。……しかし、確かにそうだというのではない。あるいは傑作であるかもしれない。傑作でないとはだれにも言えない。』と言わなければいけません。」
そこにはもはや、芸術にたいして暴慢だとの咎《とが》めを受ける危険はなかった。昔、シルレルは彼らに教えをたれたことがあった。彼は当時の雑誌新聞記者らを、用捨もなくけちな暴君と呼んで、次の事柄を頭に入れさした。
[#ここから2字下げ]
婢僕《ひぼく》の本分
何よりもまず、女王の出御される家が、きれいになっていなければいけない。気をつけて、室々を掃除《そうじ》せよ。そのために諸君はここにいるのだ。
しかし女王が出御されたならば、すぐに退《さが》ってしまえ。女王の椅子《いす》に、召使|風情《ふぜい》が腰をおろしてはいけない。
[#ここで字下げ終わり]
ところが、現今の批評家どもは許してやらなければならなかった。彼らはもはや女王の椅子に腰掛けてはいなかった。婢僕たることを求められたので、すなわち婢僕となっていた。――しかし悪い婢僕だった。彼らは少しも掃除しなかった。室は散らかっていた。彼らは室
前へ
次へ
全387ページ中172ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング