とらえ、ほのかに匂《にお》ってたのが、次に執拗《しつよう》になり、息苦しいほどになってきた。それは死の臭気だった。
死、それはかかる華麗と喧騒《けんそう》とのもと至るところにあった。それらのある作品にたいしてただちに嫌悪《けんお》の情を感じたのが、なにゆえであるか今やクリストフにわかった。彼を不快ならしめたのは、その不道徳ではなかった。道徳、不道徳、非道徳――そういう言葉は皆なんらの意味をもなさない。クリストフはかつて道徳論をたてたことはなかった。彼は過去のうちに、ごく偉大な詩人と音楽家とを愛していた。しかしそれらはけちな聖者ではなかった。彼は偉大な芸術家に出会う機会を得る時、告白録を尋ねはしなかった。むしろこう尋ねた。
「あなたは健全ですか。」
健全であること、それが万事だった。ゲーテは言った。「もし詩人が病んでるなら、まず回復することから始めるがよい。回復したら、その時に書くがよい。」
パリーの著作者らは病気になっていた。あるいは、健全な者はそれを恥として、健全なことをみずから押し隠し、りっぱな病気にかかろうとつとめていた。彼らの病気は、その芸術の何かの特質に現われてはしなか
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