リヤ王[#「リヤ王」に傍点]を演じていた。他方では、ヴィクトル・ユーゴー式の声太な勇ましい調子で、ハムレット[#「ハムレット」に傍点]を歌劇《オペラ》にしていた。現実も詩的であり得ること、生命にあふれた心にとっては詩も一の自発的言語であること、などを彼らは思い及ばなかった。そしてシェイクスピヤは虚偽のように思われて、また急いでロスタンに立ちもどっていた。
けれどもこの二十年来、芝居を改革するために努力が尽くされていた。パリー文学の狭い範囲は広げられていた。大胆を装《よそお》ってすべてに手が触れられていた。外部の変動が、一般の生活が、恐ろしい力で慣習の幕を押し破ったことも、二、三度あった。しかしながら、その裂け目はまた急いで縫い合わされた。ありのままに事物を見ることを恐れてる、気の小さな父親らであった。社会の精神、古典的伝統、精神と形式との旧習、深い真摯《しんし》の欠乏、などは彼らをして、その大胆な試みを最後まで押し進めることを許さなかった。最も痛切な問題も巧みな遊戯となった。そしていつも帰するところは婦人――つまらない婦人――の問題であった。イプセンの勇壮な無秩序、トルストイの福音、
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