せるべき[#「べき」に傍点]文句を、笑う用意をする余裕を与えるために、俳優がまず予告しながら口にする時には、彼らは皆笑った。また悲劇人形どもが、在来の型に従って泣きじゃくったり喚《わめ》いたり気絶したりする時には、彼らは感動のあまり涙を流して、鼻をかんだり咳《せき》をしたりした。
「だからフランス人は軽薄だと言われるんだ。」とクリストフは芝居から出て叫んだ。
「何事でもすぐにわかるものじゃないさ。」とシルヴァン・コーンは快活に言った。「君は徳操を見たがってたが、フランスにも徳操があることはわかったろう。」
「あんなのは徳操じゃない、」とクリストフは言い返した、「ただ雄弁というものだ。」
「フランスでは、」とシルヴァン・コーンは言った、「芝居の徳操はいつも雄弁なんだ。」
「裁判所の徳操なら、」とクリストフは言った、「いちばん饒舌《じょうぜつ》な者が勝つにきまってるさ。僕は弁護士が嫌《きら》いだ。フランスには詩人はいないのか。」
 シルヴァン・コーンは彼を詩劇へ連れていった。

 フランスには詩人がいた。偉大な詩人さえもあった。しかし芝居は彼らのためのものではなかった。三文詩人のために存在
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