――森、洞窟《どうくつ》、地下道、死人の室――を通じて、ようやく小島の小鳥が幾羽かもがいてるのみだった。憐《あわ》れなる小鳥よ! かわいい、温《あたた》かい、ちまちまとした小鳥……。あまりに強い光、荒々しい身振りや言葉や熱情、生命、それを彼らはどんなに恐れていることだろう! しかし生命は精練されたるものではない。生命は手袋をもってとらえられるものではない……。
 かかる疲憊《ひはい》した文明を、この瀕死《ひんし》の小さなギリシャを、一掃しつくすような大砲のとどろきが来るのを、クリストフは期待していたのである。

 それにもかかわらず、この作品にたいする同感の念をクリストフに起こさしたのは、傲慢《ごうまん》な憐憫《れんびん》の感情であったろうか? それはとにかく、彼は心ならずも多くの興味を覚えた。芝居の帰りにはシルヴァン・コーンへ向かって、「ごく精巧だ、ごく精巧だ、しかし活気が欠けている、僕にとっては音楽が足りない、」と飽くまで答えはしたものの、フランスの他の音楽的作品とこのペレアス[#「ペレアス」に傍点]とを、いっしょにしないように用心していた。霧の中にともっているその燈火に、心ひかれ
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