と次第に、燈火が輝いてきた。薄ら明かりのうちに何かが見え始めた。そうだ、音楽の波の下に劇を沈めようとするワグナー派の理想に反対して、簡潔を旨とする意図がその中に含まってることを、彼はよく理解した。しかしながら、そういう犠牲的な意図は、もっていないものを犠牲にするというところから来るのではないかと、彼はやや皮肉に疑ってみた。苦心することの恐れ、疲れを最も少なくして効果を得んとする試み、ワグナー派の力強い構成に必要な激しい努力を無精《ぶしょう》のためにあきらめたやり方、などを彼は作の中に感じた。平坦《へいたん》で簡単で穏やかで微温的な朗詠法に、心ひかれないでもなかったが、しかしどうも単調なように思われ、ドイツ人の眼では真実のものだとは考えられなかった。――(彼が見て取ったところによれば、朗詠法が真実らしくなろうとすればするほど、いかにフランス語が音楽に不適当であるかをますます目立たせるのであった。あまりに論理的で、あまりに形が正しく、あまりに輪郭がはっきりしていて、それ自身で完全な一世界をなしてはいるが、しかしそれも密閉された世界なのであった。)――けれどもその試みは珍しいものであった。ク
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