ゃべりたてた。
彼らはどうしていいかわからなかった。そして父親へ言葉を向けた。
「お前は娘を黙らせないか。」
老人はロールヘンを極端に走らせるのは軽率だと悟っていた。彼は皆に静まるよう合図をした。沈黙が落ちてきた。ロールヘン一人が語りつづけた。それから彼女は、もう答弁を受けないので、薪《まき》のない火のように静まった。しばらくして、父は咳《せき》払いをして言った。
「じゃあいったいお前はどうしたいというんだ? まさか俺たちの身を滅ぼしたいんじゃないだろう。」
彼女は言った。
「あの人を助けてもらいたいんです。」
彼らは考え始めた。クリストフは同じ場所にじっとしていた。傲然《ごうぜん》と身を堅くして、自分に関することだとも思っていないがようだった。しかしロールヘンの仲介には感動していた。ロールヘンもやはり、彼がそこにいることを知らないようなふうをしていた。彼がすわってるテーブルに背中をもたして、喧嘩《けんか》腰で百姓らを見すえていた。百姓らは眼を下に落して、煙草《たばこ》を吹かしていた。ついに、彼女の父はパイプを噛《か》んでから言った。
「どんな申し立てをしようと、ここに残ってる
前へ
次へ
全527ページ中506ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング