えてたのに気づいた。彼はこの憐《あわ》れな叔父のことをもう長い間考えたことがなかった。そして、今|執拗《しつよう》にその思い出が浮かんでくるのはなぜだかを怪しんだ。澄み切った運河に沿って白楊樹《はくようじゅ》の並木道をたどりながら、その思い出がしきりに浮かんできた。あまりにその面影が眼先にちらつくので、大きな壁の角を曲がったりすると、叔父が向こうからやって来はすまいか、などと思われた。
 空は曇った。霰《あられ》交りの激しい驟雨《しゅうう》が降りだして、遠くで笛が鳴った。クリストフはある村落に近づいていた。人家の薔薇色《ばらいろ》の正面や赤い屋根などが、木の茂みの間に見えていた。彼は足を早めて、最初の家の庇《ひさし》の下に身を避けた。霰が隙間《すきま》もなく落ちていた。あたかも鉛の粒のように、屋根に音をたて往来にはね返っていた。轍《わだち》には雨水がいっぱいになって流れていた。光り輝く恐ろしい帯を広げたような虹《にじ》が、花の咲いた果樹園から横ざまに、青黒い雲の上にかかっていた。
 戸の入口に一人の若い娘が、立ちながら編み物をしていた。彼女は親しく、クリストフにはいれと言った。彼はその
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