来た。こんどは、ひどく怒っていた。癇癪《かんしゃく》を起こしながら、しかも平気なふうを装《よそお》おうとつとめながら、室のまん中につっ立った。シュルツが絶望的な身振りをしたのにも構わず、らっぱのような声で尋ねた。
――皆様は、冷たい食事と熱い食事と、どちらを召し上がりたいのであるか。彼女の方は、どちらでも構わない。お指図を待ってるばかりである。
シュルツはそのやかましい小言《こごと》に当惑して、彼女をひどくやっつけてやりたかった。しかしクリストフは笑い出した。クンツもその真似《まね》をした。そしてシュルツもついに同じく笑い出した。ザロメはその結果に満足して、あたかも後悔してる人民どもを許してやる女王のような様子で、踵《くびす》をめぐらして出て行った。
「これは元気な女だ!」とクリストフは言いながらピアノから立ち上がった。「彼女の言うところはもっともだ。演奏中にはいって来る聴衆ぐらいたまらないものはない。」
彼らは食卓についた。非常に嵩《かさ》の多い滋養に富んだ食事であった。シュルツがザロメの自負心をおだてたのだった。彼女は何か口実さえあれば自分の腕前を見せたがっていた。そしてその
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