のまま去ってしまおうと考えていたが、すぐに老人の誠実親切な魂を感じて、彼を愛しだした。家に着くまでにはもう、二人は種々なことをたがいにうち明けていた。
家へはいると、クンツがいた。彼はシュルツがクリストフを捜しに出かけたことを聞いて、落ち着き払って待っていたのである。牛乳入りのコーヒーが出された。しかしクリストフは、町の旅舎で朝食をしたと言った。シュルツ老人は失望した。この土地でのクリストフの最初の食事が自分の家でなされなかったことは、彼にとって真の悲しみだった。それらのつまらない事柄も、彼の愛情深い心にとっては非常に大事なことだった。クリストフはそれを見て取って、ひそかに面白がり、そしてますます彼を好きになった。彼を慰めんがために、二度朝食をしたいほど空腹だと言った。そしてそれを実際に証明した。
不快な気持はことごとく彼の頭から去った。彼はほんとうの友人らの間にある心地がし、生き返った気がした。旅のことを、苦々《にがにが》しい事柄を、滑稽《こっけい》化して語った。休暇を得た学生のようなふうだった。シュルツは晴れやかな様子で、彼をじっと見守り、心から笑っていた。
ひそかな糸で三人
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