男は、生涯《しょうがい》かつて大して気をもんだことがなかった。けれども、シュルツのもたらした報知には彼も平然たることを得なかった。彼はその短い腕とランプとを動かしながら尋ねた。
「なに、ほんとうかい? 来るのかい?」
「明日の朝だ。」とシュルツは電報をうち振りながら揚々とくり返した。
 二人の老友は青葉|棚《だな》の下のベンチへ行ってすわった。シュルツはランプを取った。クンツはていねいに電報を開き、半ば口の中でゆっくり読んだ。シュルツは彼の肩越しに声高く読み返した。クンツはなお、電文のまわりの指示欄や、発送された時間や、到着した時間や、語数などをながめた。それからその貴い紙片を、快げに笑ってるシュルツに返し、うなずきながら彼をながめて、くり返した。
「ああよろしい……よろしい!……」
 そしてちょっと考え、煙草《たばこ》を一口大きく吸い込んで吐き出した後、シュルツの膝《ひざ》に手を置いて言った。
「ポットペチミットに知らせなけりゃいけない。」
「己《おれ》が行こう。」とシュルツは言った。
「己もいっしょに行こう。」とクンツは言った。
 彼はランプを置きに家へはいり、またすぐに出て来た。
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