をつまらしながらののしった。彼女はかつて、彼がそんなに憤って対抗してくるのを、見たことがなかった。彼女はびっくりして、手を引いた。しかしきびしい言葉をやめなかった。彼を狂人爺《きちがいじい》さんだとして、言い進んだ、今まではりっぱな人だと思っていたが、しかしそれは自分の思い違いだった、車夫でさえ顔を赤らめるようなひどいことを言い、眼は顔から飛び出し、その眼がもしピストルだったら、自分は殺されるところだった、などと……。彼女のそういう悪態はいつまでつづくかわからなかった。しかし彼は猛然と枕《まくら》蒲団《ふとん》の上に身を起こして叫んだ。
「出て行きなさい!」
 それがいかにも厳然たる調子だったので、彼女は扉《とびら》をばたりと閉《し》めて出て行った。出て行きながらも、もういくら呼ばれたって来やしない、勝手に一人で怒鳴るがよい、などと言い捨てて行った。
 そして、夜の影が広がり始めてる室の中には、ふたたび静寂が落ちて来た。会堂の鐘は夕《ゆうべ》の平和の中にふたたび、その落ち着いた奇怪な響きをたてていった。シュルツ老人は激昂《げっこう》したのをやや恥じながら、じっと身を反《そ》らしてあえぎ
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