く陰気で、見知らぬ人影が、まったくの他人であり無関係である人影が、どれも皆忙しそうに足を早めながら、出入りしていて、一人の知人もなく、一の親しい顔もなかった。蒼白《あおじろ》い明るみは消えてしまった。霧に包まれた電燈が、夜の中に点々とともって、夜をいっそう暗くしてるがようだった。時がたつにつれてクリストフはますます切ない気持になり、出発の時間を苦しげに待っていた。間違えていないことを確かめるために、一時間に十度も時間表を見直しに行った。そして時間つぶしに、それを隅々《すみずみ》までまた読み返してると、ある地名にはっとした。どうも覚えがあるようだった。やがてそれは、いかにも親切な手紙をくれたシュルツ老人の土地であることが、思い出された。この見知らぬ友を訪れてみようという考えが、慌《あわただ》しい中にもすぐに浮かんできた。その町は直接の帰途には当たっていなくて、支線を一、二時間ばかりの所だった。長い時間待って二、三度乗り換えをしながら、夜通しの旅になるのだった。クリストフは何にも計算に入れなかった。そこへ行こうとすぐにきめた。同情にすがりたいという本能的な欲求があった。考える暇も待たずにす
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