ハルト夫人は少々当惑して彼のところへ来て軽く打った。しかし彼がいかにも心よく笑ってるので、彼らもまたいっしょに笑った。彼らは間違いない意見をいだき得るとは自信していなかった。そしていかなる立脚地に立っていいかわからなくなったので、リーリ・ラインハルトはすべてを非難しようときめ、良人《おっと》はすべてをほめようときめた。そうすれば、二人のうち一人はいつもクリストフと同意見になることが確かだった。
それにまた、二人をクリストフにひきつけたのは、彼が音楽家であるからというよりもむしろ、やや常軌を逸したきわめて親しみ深い活発なお人よしだったからである。彼の悪い噂《うわさ》を聞いても、彼らはそのためにかえって好意をいだいた。彼と同じく彼らもまた、この小都市の雰囲気《ふんいき》に圧迫されていた。彼と同じく彼らもまた率直であって、自分だけの考えで物を判断していた。そして、処世術が下手《へた》で自分の率直さの犠牲となってる大きな坊ちゃんだと、彼らは彼を見なしていた。
クリストフはその新しい友人たちを、たいして買いかぶってはいなかった。彼らから自分の奥底は理解されていないし、決して理解されることはあ
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