を尋ね、懇篤で道義的な忠告を与えていた。安楽|椅子《いす》――それもごく堅いものだったが――の上には、小さな羽蒲団《はねぶとん》が敷かれていて、その羽蒲団は親しげにささやいていた。
「どうか十五分間ばかりでも!」
クリストフに出されたコーヒー茶碗《ぢゃわん》は、も一杯飲むように勧めていた。
「も一口どうぞ!」
御馳走皿《ごちそうざら》は、もとよりりっぱな料理に道徳を加味していた。一つの皿は言っていた。
「万事をお考えなさい。そうでないと何にもいいことが起こりますまい。」
も一つの皿は言っていた。
「愛情と感謝とは人を喜ばせます。忘恩はだれでもきらいます。」
クリストフは少しも煙草《たばこ》を吸わなかったが、暖炉の上の灰皿は彼の方へ進んで来ないではいなかった。
「火のついた煙草の小さな休み場所。」
彼は手を洗おうとした。すると化粧台の上のせっけんは言った。
「われわれの親愛なる客人のために。」
そして謹直な手ぬぐいは、何にも言うことがないのにやはり何か言わなければいけないと思ってるごく丁重な人のように、ごく良識的ではあるがしかしあまり適宜でない考えを、「朝を楽しむために早く起
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