を誇り、細君らは自分の良人《おっと》の知識を誇っていた。クリストフは、窓ぎわの壁によりかかってたたずみ、どういう様子をしていいかわからず、あるいはぼんやり笑顔をしようとつとめたり、あるいは眼をすえ顔を引きしめて陰鬱《いんうつ》になったりしながら、退屈でたまらなかった。数歩向こうに一人の若い女が窓口に腰掛けて、だれからも話しかけられず、彼と同様に退屈しきっていた。二人とも広間の中をながめていて、たがいに認めなかった。しばらくたってから、どちらもたまらなくなって欠伸《あくび》をしようと向き返った時に、初めて気づいた。ちょうどその時、二人の眼は出会った。二人は親しい目配せをし合った。彼は彼女の方へ一歩近寄った。彼女は小声で彼に言った。
「面白うございますか。」
彼は広間の方へ背中を向け、窓を見ながら、舌を出してみせた。彼女は放笑《ふきだ》した。そしてすぐに気がついて、そばに腰をおろすようにと合図をした。二人は近づきになった。彼女は学校で博物の講義を受け持ってるラインハルト教師の細君だった。夫妻はこの町に最近来たばかりで、まだだれも知り合いがなかった。彼女はとうてい美しいとは言えなかった。鼻
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