リズム》を捜した。もうそれも見分けられなかった。その思想は壁につかまって行く酔漢のように、訳のわからぬことをしゃべりながらよろよろと進んでいった。彼はそういう状態になってる自分の姿を人に見られたかのように、恥ずかしくてたまらなかった。自分が書いたのはそういうものではないと知っても、なんの役にもたたなかった。愚劣な通弁者から自分の言葉が改悪される時、人はちょっと疑ってみ、その馬鹿さ加減に自分は責任があるかどうか、驚いてみずから尋ねる。ところが公衆の方は、決して怪しまない。聞きなれた通弁者を、歌手を、管弦楽隊を、あたかも読みつけの新聞を信ずるように信じている。通弁者らに誤りがあるはずはない。彼らがくだらないことを言うのは、その作者がくだらないからである。そしてこの場合においては、そう信ずることが愉快であるだけにますます聴衆は怪しまなかった。――クリストフは、楽長が滅茶《めちゃ》な演奏に気づいて、管弦楽をやめさせ、初めからやり直さしてくれるだろうと、しいて思い込もうとした。もはや各楽器がいっしょに鳴ってはいなかった。ホルンは吹き出す機《おり》をそらして、一小節だけ後《おく》れていた。そしてな
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