とと思った。自分が困憊《こんぱい》してるのを見て彼らは、卑しい怨恨《えんこん》を含んでるのではないことを証明したがってるのだと、彼は想像した。そしてそれに感動した。彼はオイフラートへ交響詩を一つ送って、真情に満ちた寸簡を認《したた》めた。向こうからは秘書の手に成った返事が来た。冷淡なしかし丁寧《ていねい》な手紙であって、送られたものを正に受け取ったと告げ、交響曲は楽団の規則に従って、近々管絃楽団に配布され、公の演奏をする前に一度、一般試演にかけてみるはずだと書き添えてあった。規則は規則だった。クリストフは従わないわけにはゆかなかった。それにまたこの規則は、単に形式的なものであって、厄介《やっかい》な音楽愛好家らの労作を避けるために使われてるものだった。
 二、三週間後に、クリストフは自作の試演が行なわれる由を知った。原則としてはすべて傍聴が禁じられ、作者といえども立ち合うことができなかった。しかし作者が出席することは一般に大目に見られていた。ただ作者たることを示してはいけなかった。だれも皆作者を知りながら知らないふうをするのであった。それで定日になると、クリストフは一人の友人に誘われ、
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