面がくり返されるところだった。彼が訪ねてゆくと、コリーヌは鏡を前にして、高い腰掛にすわり足をぶらぶらさしていた。鬘《かつら》をためしてるのだった。衣裳方と一人の床屋とがそばにいた。彼女は巻毛をも少し高くしたいといって、床屋に種々注文をしていた。そして鏡をのぞいてる時に、自分の背後で微笑《ほほえ》んでるクリストフを鏡の中に見出した。彼女は舌を出してみせた。床屋は鬘をもって出て行った。彼女は快活にクリストフの方をふり向いた。
「今日は。」と彼女は言った。
彼女は彼に接吻《せっぷん》させるため片|頬《ほお》を差し出した。彼はそれほどの親密を期待していなかった。しかしその機会を無駄《むだ》にはしなかった。彼女の方では、その恩恵をなんとも思っていなかった。彼女にとっては、ただ普通の「今日は」と同じものだった。
「ああうれしいこと!」と彼女は言った。「今晩はうまくゆくわ。――(彼女は鬘のことを言ってるのだった。)――ほんとうに悲しかったのよ。今朝いらしったら、私は困りきってるところだったわ。」
彼はその理由を尋ねた。
それは、パリーの床屋が荷造りを間違えて、彼女の役割に適しない鬘を入れて来た
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