った。どんよりした太陽の蒼白《あおじろ》い光に寒げにあたたまってる、しみじみと静まり返った冬の一日であった。遠くには時々、汽車の短い汽笛が谷間に響いていた。クリストフは岩の端に立って、その景色にながめ入った。ミルハはクリストフをうちながめていた。
 彼は機嫌《きげん》のいい様子で彼女の方へ振り向いた。
「どうだい、怠惰者《なまけもの》たちだなあ、僕が言ってやったとおりだ!……よし、待っててやれ……。」
 彼は亀裂《ひび》のはいった地面の上に、日向《ひなた》に寝そべった。
「そうよ、待ってましょう……。」とミルハは帽子を脱ぎながら言った。
 彼女の口調には、いかにも嘲《あざけ》り気味がこもっていたので、彼は身を起こして彼女をながめた。
「どうなすったの?」と彼女は平然として尋ねた。
「今なんと言ったんだい?」
「待ってましょうと言ったのよ。あんなに早く私を歩かせるには及ばなかったでしょう。」
「そうだね。」
 彼らはでこぼこした地面の上に、二人とも寝ころんで待った。ミルハは低い声である歌を歌った。クリストフはそのところどころを口ずさんだ。しかし彼はたえずそれを途切らしては耳を傾けた。

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