がすべてである……。
 アーダは彼の言葉に耳を傾けながら、微笑《ほほえ》みを浮かべ、落着きを失い、ほとんど感動していた。彼女は彼にやさしい眼つきをしてやった。たがいに愛していてもう怒《おこ》ってはいないと告げる眼つきだった。二人は抱擁し合った。そして寄り添いながら、落葉した林の中を歩いて行った。彼女はクリストフをかわいいと思い、彼のやさしい言葉に満足していた。しかし頭にもってる悪い思いつきを捨てはしなかった。でもさすがに躊躇《ちゅうちょ》され、先刻ほど気が進まなかった。それでもやはり計画どおりを実行した。なぜか? それをだれが言い得よう……。先刻みずから実行を誓ったからであるか?……そんなことがだれにわかるものか。おそらくは、自分が自由であるということを、恋人に証明してやり、自分自身に証明してやるために、彼を欺くのがその日はことに面白く思えたのかもしれなかった。彼女はそれで恋人を失うとは考えていなかった。失いたくはなかった。最も確かに恋人をとらえると信じていた。
 一同は森の中の木立まばらな所に到着した。そこから二つの小道が分れていた。クリストフは一方の道をとった。エルンストは目的の丘
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