る不安をも、彼はそれとなく知らせた。しかし彼はかつて彼女をとがめなかった。自分自身をとがめていた。そして眼に涙を浮かべながら、アーダを失うようなことがあったらもう生きてはおられないだろうと言った。
 彼はエルンストのことをアーダに話すのも忘れなかった。そして彼の怜悧《れいり》と美貌《びぼう》とをいつもほめた。
 エルンストはアーダに紹介してくれとは、クリストフに進んで申し出なかった。自分の知ってる者はだれもいないと言いながら、寂しそうに室に閉じこもって、出かけることを肯《がえん》じなかった。クリストフは日曜日に、弟が家に残ってるのに、アーダとなお野外遊歩をつづけてるのを、みずからとがめた。それでも、恋人と二人っきりにならないと苦しかった。しかし自分の利己主義もやましかった。そしてエルンストをいっしょに来ないかと誘った。
 紹介は、アーダの室の入口で、階段の上でなされた。エルンストとアーダは丁重に挨拶《あいさつ》をかわした。アーダはいつもつきっきりのミルハを従えて、外に出て来た。ミルハはエルンストを見ると、ちょっと驚きの声をたてた。エルンストは微笑《ほほえ》み、近寄ってゆき、ミルハに接吻
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