は慎み深いふうをして、クリストフに近寄らずに通りすぎた。
 クリストフはその出会にたいへん困った。そのために、いかなる連中に自分が立ち交ってるかが、さらに強く感じられた。そういうところを弟に見られたのが、心苦しかった。なぜなら、以後はエルンストの品行を批判する権利を失ったばかりでなく、また、兄としての義務について、きわめて高い、きわめて素朴な、多少旧弊な、そして多くの人には滑稽《こっけい》に思われるかもしれないほどの、一つの観念をもっていたからである。自分のようにその義務を欠くと、自分自身の眼にもみずから堕落することになると、彼は考えていた。
 その晩、いっしょの居室に二人落ち合った時、彼は昼間の出来事をエルンストが暗に言い出してくれるのを待った。しかしエルンストは慎重に口をつぐんで、やはり待っていた。すると、二人とも着物をぬいでるうちに、クリストフは自分の恋愛をうち明けようと決心した。彼はおどおどしてエルンストの方をながめられなかった。そして気恥ずかしさのあまり、ことさらに乱暴な言い方をした。エルンストは少しも助けてくれなかった。黙っていて、やはり彼の方をながめなかった。それでも彼の
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