言った。「ただ一言《ひとこと》だけ!」
 そしてますます盛んにやり出した。
 クリストフは怒って身体を揺すった。
「そんなにけがらわしい話はよしてくれ!」
「冗談を言ってるのよ。」
「もっとりっぱな話の種を捜しておいでよ。」
「じゃあせめて理由を言ってごらんなさい。なぜそれが気に入らないか言ってごらんなさい。」
「理由があるもんか。なぜ肥料《こやし》が臭いかには、議論の余地はない。肥料は臭い、ただそれっきりだ。僕は鼻をつまんで逃げ出すばかりさ。」
 彼は憤然として立去った。そして冷たい空気を呼吸しながら、大胯《おおまた》に歩き回った。
 しかし彼女は、一遍も、二遍も、十遍も、同じことをやりだした。彼の本心をいやがらせ傷つけるようなものなら、なんでも議論のうちに取り入れた。
 それはまったく、人をからかって面白がる神経衰弱症の娘の、不健全な戯れにすぎないものだと、彼は思っていた。彼は肩をそびやかし、あるいは聞かないふうをした。彼女の言葉を真面目《まじめ》にはとらなかった。でもやはり、彼女を投げ捨ててしまいたいような気になることもあった。なぜなら、神経衰弱症と神経衰弱患者とは、最も彼の趣味
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