とが、たがいに永《なが》く他人となってしまうことがある。
 でクリストフは、自分が通っている危機にたいする一の支持を、母の愛情のうちに見出せなかった。そのうえ、他を顧る暇のない利己的な情熱にとっては、他人の情愛がどれだけの価値をもっていよう?
 ある夜、家の者は皆眠っていたが、彼は一人室の中にすわって、何にも考えもせず、身動きもせず、危険な考えの中に膠着《こうちゃく》していた。その時、ひっそりした小さな街路に足音が響いて、そして戸をたたく音に、彼ははっと我に返った。はっきりしないささやきの声が聞えた。彼はその晩父がもどっていなかったことを思い出し、往来のまんなかに寝てるところを見つけられた先週のように、やはり酔っ払った父が連れて来られたのだと、腹だたしく考えた。メルキオルはもう少しも行ないを慎《つつし》んでいなかったのである。彼はますます身をもちくずしていた。そして他の者なら死んでしまってるかもしれないほどの放埒《ほうらつ》と不摂生にも、彼の頑強《がんきょう》な健康は害されないらしかった。彼はやたらに大食し、ぶっ倒れるまでに暴飲し、冷たい雨に打たれながらいく晩も外で明かし、喧嘩《けんか
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