ち立てられた神は、人の魂を窮屈なる信条のうちに閉じ込むるものではなく、自由に濶歩《かっぽ》するの力を人の魂に与うるものである。それでは人類はついに、いかなる境地にたどりつかんとするのであろうか? それは純真なる求道者たるロマン・ローランにとって、ジャン・クリストフにとって、問題ではなかった。彼は人類の道程を無限の距離にまで延長した。
一九二〇年八月
[#地から2字上げ]豊島与志雄
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付記――ロマン・ローランは「ジャン・クリストフ」を中心にする著作によってノーベル文学賞を授与されたが、その後、「魅せられたる魂」の大作をはじめ幾多の著作があり、一九四四年末に病歿した。
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底本:「ジャン・クリストフ(一)」岩波文庫、岩波書店
1986(昭和61)年6月16日改版第1刷発行
入力:tatsuki
校正:伊藤時也
2008年1月27日作成
2008年6月10日修正
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