一つすむと、みんな夢中になって手を叩《たた》いてはやし立てました。すると、猿はまた別な踊を始めました。
蔵のある家の人達は、表の庭が騒々しいので、不思議に思って出て来ました。見ると、大勢《おおぜい》の子供達のまん中で、赤い布と鈴とをつけた大きな猿《さる》が、変な踊をおどっています。
「おや、不思議な猿ですねえ。どこの猿ですか」と家の人はたずねました。けれど子供達も、どこから来たどういう猿だか、少しも知りませんでした。
そのうちに、猿は踊をすましました。そして、風呂敷包《ふろしきづつ》みからお米を一つかみ取り出して、片方の手でそれを指さしながら、しきりに頭を下げています。「お米を下さい」と言ってるようなようすです。
家の人はそれを悟《さと》って、米を少し持って来てやりました。猿は風呂敷を広げてそれをもらい取ると、何度も嬉《うれ》しそうにお辞儀《じぎ》をしました。それから、また別な家の方へやって行きました。子供達はおもしろがってついて行きました。
次の家でも、猿は同じことをして、お米をもらいました。そういうふうにして、何軒《なんげん》か廻って風呂敷にいっぱい米がたまると、猿はそれを
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