まで上げて目庇《まびさし》を作り、それから目をまたたきながら眉根《まゆね》を寄せたが、それは口を軽くとがらしたのとともに、相手がだれであるかを見て取ろうとする鋭い注意を示すものだった。しかし彼はそれに成功しなかった。ジャン・ヴァルジャンは前に言ったとおり、光の方に背を向けていたし、またま昼間の光でさえも見分け難いほど泥《どろ》にまみれ血に染まって姿が変わっていた。それに反してテナルディエは、窖《あなぐら》の中のようなほの白い明りではあるがそのほの白さの中にも妙にはっきりしてる鉄格子《てつごうし》から来る光を、まっ正面に受けていたので、通俗な力強い比喩《ひゆ》で言うとおり、すぐにジャン・ヴァルジャンの目の中に飛び込んできたのである。この条件の違いは、今や二つの位置と二人の男との間に行なわれんとする不思議な対決において、確かにジャン・ヴァルジャンの方にある有利さを与えるに足りた。会戦は、覆面をしたジャン・ヴァルジャンと仮面をぬいだテナルディエとの間に行なわれた。
ジャン・ヴァルジャンはテナルディエが自分を見て取っていないのをすぐに気づいた。
ふたりはその薄暗い中で、互いに身長をはかり合
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