に触れた。一つの足場である。ちょうどいい時だった。
彼は身を伸ばし、身をひねり、夢中になってその足場に乗った。あたかも生命のうちに上ってゆく階段の第一段のように思えた。
危急の際に底の泥《どろ》の中で出会ったその足場は、底部の向こうの一端だった。それは曲がったままこわれないでいて、板のようにまた一枚でできてるかのように、水の下に撓《しな》っていた。よく築かれた石畳工事は、迫持《せりもち》になっていてかくまでに丈夫なものである。その一片の底部は、半ば沈没しながらなお強固で、まったく一つの坂道となっていた。一度その坂に足を置けば、もう安全だった。ジャン・ヴァルジャンはその斜面を上って、泥濘孔《でいねいこう》の彼岸に着いた。
彼は水から出て、一つの石に出会い、そこにひざまずいた。彼は自然にそういう心地になって、しばらくそこにひざまずいたまま、全心を投げ出して言い知れぬ祈念を神にささげた。
彼は身を震わし、氷のように冷たくなり、臭気にまみれ、瀕死《ひんし》の者をになって背をかがめ、泥濘をしたたらし、魂は異様な光明に満たされながら、立ち上がった。
七 上陸の間ぎわに座礁するこ
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