にはたえ得るくらい濃密だったが、明らかにふたりを支えることはできなかった。マリユスとジャン・ヴァルジャンとは、もし別々に分かれたらあるいは無事ですむかも知れなかった。しかしジャン・ヴァルジャンは、おそらくはもう死骸《しがい》になってるかも知れない瀕死《ひんし》のマリユスをにないながら、続けて前進した。
 水は腋《わき》まできた。彼は今にも沈み込むような気がした。その深い泥土の中で歩を運ぶのも辛うじてであった。ささえとなる泥の密度はかえって障害となった。彼はなおマリユスを持ち上げ、非常な力を費やして前進した。しかしますます沈んでいった。もう水から出てるのは、マリユスをささえてる両腕と頭とだけだった。洪水《こうずい》の古い絵には、そういうふうに子供を差し上げてる母親が見らるる。
 彼はなお沈んでいった。水を避けて呼吸を続けるために、頭をうしろに倒して顔を上向けた。もしその暗黒の中で彼を見た者があったら、影の上に漂ってる仮面かと思ったかも知れない。彼は自分の上に、マリユスのうなだれた頭と蒼白《そうはく》な顔とを、ぼんやり見分けた。彼は死に物狂いの努力をして、足を前方に進めた。足は何か固いもの
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